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鳥になりたい少女
この物語は 鳥になりたい少女と 少女になりたい鳥の物語 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 皆、間違っている。 鳥は自由だとか、勝手に思っているけれど、 実際には自由はない。 空を飛べるから自由になるのか? なら言おう。 空を飛べることでの 不自由さを。 「ねぇ?人生交換しようよ」 そう問いかけてきたのは、一人の美しい少女。 彼女は木の根元に一人で住んでいる。 僕もよく、この木の上で羽を休めては、 雨が止むまで、世間話でもしたものだ。 そんな彼女が突然言ってきたのがこの言葉。 お互い、自分の人生に嫌気をさしていた。 彼女は、ここから身動きできない苦しさに 僕は、天敵から追われる不自由さに。 僕らは、お互いに承諾し、人生を交換することにした。 今の苦しみから逃れたい・・ ただそれだけのことで。 むしろ、お互いの立場と居場所に憧れていた。 この木に昔から住んでいる、精霊の力を借り、 僕らは魂を交換した。 ![]() 僕は少女に 少女は、鳥の姿に。 期限は1週間。ここで会うことを約束して。 彼女は、うれしそうに青空を飛び立った。 そして僕は、身動きのとれない、この木下に足をおろした。 貴重な鳥だと言われていた僕は、 あらゆる敵に追われていた。 僕の血には、不思議の力があるらしい。 だれがそんな噂を作ったのか? そんな不思議の力なんてあるわけがない。 無意味な追いかけっこ。 常に死と隣り合わせの日々に疲れていた。 そんなある日、身を隠すために雨の中みつけたのが この木であり、 そして出会ったのが、彼女だった。 彼女もまた寂しそうにしていた。 姿はあんなに美しいというのに。 こんな木の下に住んでいるということが、勿体無いぐらいに。 彼女はこういっていた。 「私の誤った行動で、ここに飛ばされてきたの。 本当なら、ここから1キロもしないところに仲間はいるの。 だけど、私、ここから動けない。 私があの時、あんなことをしなければ・・」 彼女は自分の行動に後悔していた。 そのための仕打ちだと、ココロでは泣いているようだった。 彼女はいう。 「あなたみたいに、空を飛べる自由がほしい。 どうして私は、この姿に産まれてしまったのかな? 別に、なくてもいいようなこの姿に」 僕は、彼女が身動きできないかわりに 自分が見てきたものを彼女に話した。 少しでも、彼女の気休めになれるようにと。 自分が受けてきた、すべての辛さとかは話さずに、 美しい、楽しい思い出だけを。 彼女は今、僕の姿になって何を楽しんでいるのだろう? どうか、この期間だけは、辛さを与えないで・・ 彼女の姿になってみる目線は、とても不思議なものだった。 ずっと、移り変わることのない、景色。 誰も通ることのないこの森の中。 たまに、横どおりする、狼。 木の上で食べ物をあさくり、木の実をおとす、リス。 景色があまりにも変わらないというのは、 こんなにも苦痛なのか。 ずっと、ずっと 誰かを待つことしかできないこの姿。 自分から行けないこの姿がとても辛く感じてきた。 今までなら、行きたいところに、いけたのに。 たしかに、追われて辛さを感じていたけれど、 まだ、自分には自由があった。 でも、彼女のこの姿。 けして、不幸ではないよ。 だって、本当に、たまに森に訪れてくる人間が 僕の姿をみつけて、声をかけてくれる。 笑顔で、珍しそうに、幸せそうな表情を。 僕は、この姿になって、 こんなに人間の幸せそうな表情を始めてみた。 人はこんなにも、優しかったのかと。 今まで、僕をみてきた人間たちの険しい表情とは違い。 彼女もわかっているはず。 幸せを与えられる自分のこの居場所の幸せを。 気づいていないだけ? なら、気づいてほしい。気づかせてあげたい。 彼女はいま、何を思っているのだろう。 僕は、ここで君を待つ。 自分から行けないこの姿で、 必ず戻ってきてくれるって 信じている。 その時は、お互いに話そう。 君であることの 素晴らしさを。 これから泣かないでいいように。 幸せな物語を話そう。 美しい花の君へ。 (鳥になりたい少女・END?) 執筆:らいゆう 公開:2007年5月18日 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ あとがき 人間のように描写しておいて、実は少女とは、花だった。 というのが、書けていれば満足です。 きっと、自分にはないものって、憧れてしまうので、 お互い人生交換することで、それぞれの悩みとか分かち合えればよいです。 お粗末さまでした。 らいゆう。 |