ふれあう前の物語


何もいえなくなってしまった私。

そんな私の目の前にいきなり、小さな箱を一つ。



さっきとは違って、照れくさそうに
目線をはずしてくる彼。



「ほら。何やってんだ。受け取れよ。」


さっきまでの勢いはどこ行った?
とでもいいたいところだけど、
そんな彼がかわいいとさえ思えてしまった。


今あけろという感じで、目線で合図をする。



箱の中には、ヘアピンが 一つ。



「待たせてごめんな。


 でも、これ選ぶのに時間がかかって・・な・・・」



これ一つに、何時間もかかっていたのか?
彼女を待たせていたのか?
とちょっと、こばかにしてしまったけれど、




やっぱり、実際、うれしいわけで・・・。





それは
彼女と彼との 恋人時代の甘い 1ページ。



(ふれあう前の物語 おまけEND)